マンションの修繕積立金、適正な値上げ幅を設定

分譲マンションの建物修繕に必要な資金として毎月徴収して積立てておく修繕積立金について、
国土交通省は徴収額を段階的に引き上げる場合の増額幅を最大約1.8倍とする方針を示しました。
修繕積立金は将来の改修に備え、
住民でつくる管理組合が毎月徴収しているケースが多く、
引き上げには一定数以上の住民の合意が必要となります。
しかし、築年数の古いマンションでは、住民の高齢化や工事費の急激な値上がりの影響もあり、
安定的に資金を確保できないケースも増えているといった実態があります。
そこで国土交通省の有識者会合では、
住民の合意を得られずに積立金不足に陥るのを防ぐため、
徴収額に基準を設ける案が示されました。
それによると、長期修繕計画に基づく改修費用の総額を月ごとに均等に割った金額を「基準額」に設定。
その0.6倍以上を新築時の徴収額の下限として、
その後の値上げ幅の上限は基準の1.1倍としました。
つまり、新築購入時の修繕積立金が下限だった場合、
増額幅は最大約1.8倍となります。
基準額の0.6倍という下限を設けた背景には
「新築時の徴収額の設定が低すぎる」とう問題があり、
目先の負担を低く抑えて売りやすくしている販売業者もあるといった指摘もあがっています。
値上げ幅について、国土交通省が行った調査によれば、
段階増額積立方式のマンション249事例の
長期修繕計画の計画当初から最終計画年までの値上げ幅の平均は、約3.58倍。
上位1/6にあたる42事例の平均値上げ幅は約5.3倍だったといいます。
3.58倍ということは、新築時の修繕積立金徴収額が7,000円だった場合、
最終的には2万5,000円以上に増額するということ。
5.3倍となると、最終的な徴収額は3万7,000円を超えます。
値上げ幅があまりに大きすぎると住民の合意形成が取りにくくなり、
仮に合意に至っても一部の世帯は支払いが困難になってしまうことが予想されますので、
今回のように1.1倍という上限を設けることで計画的な積み立てを促す考えです。
修繕積立金や管理費などのランニングコストは、
こうした一定の基準が設けられてもマンションの規模や立地によっても異なる部分で、
毎月の支出を考える上では欠かせないポイントになります。
住宅ローンの月々の支払いを考えるように、
不動産を購入する際はこういったランニングコストに関しても
しっかりと注意をしていくことが必要です。
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